交通事故紛争処理センター(略して紛セという)は全国に八か所、相談室を入れると一〇か所にあります。東京本部のほか、札幌、仙台、名古屋、大阪、広島、高松、福岡の各支部と、さいたま、金沢の相談室です。ここに被害者が申立てをしますと、同センター嘱託の担当弁護士が先に被害者だけから話を聞き、次回には損保側にも出頭を求めて、言い分を聞きます。このようにして、双方から主張と立証資料を出しあい、それらが揃ったところで、担当弁護士が示談斡旋案を示します。加害者側についている任意保険の契約先が、共済ではなく損害保険会社の場合には、被害者や加害者側損保のどちらかが斡旋案に不満のとき、審査会の「審査」に回してもらうことができます。審査会は、裁判官経験者や大学教授、弁護士などで構成されます。審査会では、さらに当事者から言い分を聞き、最後に「裁定」というものを下します。「裁定」では、加害者側は被害者に対し、金●●●万●●●●円を支払うのが妥当だという結論を示します。この「裁定」に損保は拘束されます。被害者が「裁定」案を承諾すれば、その案で示談が成立し、損保はそこで示された金額を払わざるをえなくなります。一方、被害者は、「裁定」案に拘束されません。承諾できなければ、示談は決裂ということになり、次のステップである訴訟しか道がなくなります。なぜ損保は「裁定」案に拘束されるのか。それは、損保各社が同センターと協定を結び、「裁定」には従う旨を損保が約束しているからです。
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